唯 ひとつ言えることは
わたしはこの街が嫌いだということ。
空はくすんで 風は濁って
わたしの呼吸を妨げる。
それでも 灰色の空気のなか いつもの北風に
「おまえなど消えてしまえ」と誰かが呟いても…。

わたしはいまを咲き誇る。
空に媚びずに 風に靡かずに。
永遠に咲き続ける造花なんかじゃない。
わたしはいまだけ いまだけの花。

掲げるのは きっとだれのためでもないし
花咲くのも きっとだれのためでもなくて。  

打ち負かされたっていい。
枯れてしまったっていい。

だけど
譲れないひとつだけ叫べ。


汚 い 水 は い ら な い 。


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テーマ : 詩&想い
ジャンル : 心と身体

荷物
その路を歩きはじめたのは 春 でした。
背中の荷物が
すこしだけ
重かったけれど
桜が香っていて
風がやさしくて
私は空を仰ぎながら最初の一歩を踏み出しました。
蜜蜂のハミング
花々のダンス
暖かくて柔らかなものに包まれて
さぁ、この路をゆくんだ。

兆しが訪れたのは 夏 でした。
荷を負った背が
だんだん
重くなっていきました。
それでも
梢は緑で
海は蒼くて
私は春より少し遅いリズムで歩いていました。
無駄なものを
どれだけ捨てても
荷物は軽くはならなかった
けれど
私はその路を
愛していたから。

最初の涙が落ちたのは 秋 でした。
歩けば歩くほど
荷物の重さは増していきました。
体中が
痛くて
痛くて
背中はもう
焼けるようで
私は
想うように歩けていない事実と
進みたいのに身動きがとれない焦燥に
涙をこぼしました。
それでも
背中の荷物を捨てなかった
のは
そこに残っていたのが命ほどにも
大切なものばかり
だったから。

蹲ったのは 冬 でした。
白い白い冬。
寒い寒い冬。
しゃがみ込んだ私の
髪に
肩に
降り積もる雪は
蒼く冷たく
私の温度を奪っていきました。
私は泣きました。
声をあげて泣きました。
進みたいのに
もう進めない。
歩きたいのに
もう歩けない。
零れ落ちた涙は
私の足もとに滴って
ちいさな
湖になりました。
泣いて、泣いて、泣いて、泣き疲れ
涙も枯れたころ
湖に気づき
湖面に踊る虚像をぼんやりと眺めていると
ふと
わたしの目に
不思議なものが映りました。

(なんだろう…これは…雲?)
(ううん、雲じゃない。白くて、ふわふわした…)
(これは、翼?)

私は慌てて自分の背中に手をまわしました。
柔らかな手触り。


生えていました。

「私が背負っていたものは、重くなっていったのは」
「荷物じゃなくって」
「翼だったんだ!」

背中にそっと力を入れると
羽根がいっぱいに広がりました。
ふわふわした綿毛が
涙に凍えた頬を温めてくれました。
足を踏み出すごとに、重くなれば重くなるほどに
翼は大きくなっていたのです。
凍えたつま先で地面を蹴って
私は空へと舞い上がりました。

宙から見下ろすと
私の歩いてきた路が
細く
でも
確かに
続いていました。

真っ白な世界を
それぞれのひとがゆくよ。

きっと
それぞれの翼を胸に抱いて。


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テーマ : 詩&想い
ジャンル : 心と身体

ありがとう。
毎回毎回、発作更新でごめんなさい。
メインブログの管理で手いっぱいになってしまい、なかなかこちらへ来れません。
それでも、来てくださる方、コメントをくださる方、拍手やクリックをしてくださる方、ありがとう。
みなさん、やさしすぎる…。

生存確認はリンクを貼ってある、メインブログへどうぞ。こちらはちゃんと毎日更新ですので。
以上、ちょっと宣伝でした。

私の病気のほうは、まずまず…ぼちぼち…といったところです。
『…しなきゃ!』とか、『こんなに遅れてる!』というような焦燥感はなくなりました。
そして、理由なく落ち込んだり、泣いたりするのも、激減。したと思います。いいえ、しました。

うん、大丈夫だ。

この状態を維持できますように。しあわせが消えてしまいませんように。


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テーマ : うつ病(鬱病)、メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

月影管理人
遠い遠い
はるか月の彼方に
月影管理人がひとり、暮らしていました。
彼のお仕事は
夜の闇とおなじ漆黒のビロードを使って
お月さまが欠けるべきときには、月光を覆い隠し
お月さまが満ちるべきときには、月光を解き放つことでした。

月影管理人はひとりぼっちです。
お仕事だって
毎日毎日 一日たりとも
休むことを許されません。
毎日毎日
ビロードのカーテンを微妙に動かさなくてはならないのです。
地球に暮らす、動物たちのために。
けれど
ひとりぼっちの月影管理人は
さみしさを心に刻みながらも
毎日、自分の仕事に勤しんでいました。
自分の仕事に誇りを持っていましたし
なにより自分の仕事が大好きだったからです。

ところがある日
月影管理人は重い病気にかかってしまいました。
ビロードを動かす仕事ができないのはもちろん
起きあがることすら叶いません。
(どうしよう)
月影管理人は考えます。
(仕事ができない。蒼い星のみんなが困ってしまう)

月影管理人は頭をかかえてしまいました。

そんな月影管理人の背中を
なにかやわらかなものがつつきました。

振り返って見てみると…
たくさんのたくさんの兎たちが心配そうに月影管理人を見上げていました。
兎たちは口々に言いました。
「だいじょうぶ?」
「いつもあなたのおしごと、みていたよ」
「びょうきなんだね」
「あなたのおしごと、そんけいしていたんだ」
そして
「あなたのおしごとにはとてもかなわないけど」
「ぼくたちがかわりにおしごとするからゆっくりやすんで」
「しんぱいしないで」
「だいじょうぶ」

月影管理人は自分のなかに  
あたらしい感覚が生まれるのを感じました。
からだのなかに
ぽっと
灯がともるような。
なんという感覚なのかは
よくわかりませんでしたが。

兎たちは
めいめいに
ビロードの布端をひっぱって
欠ける月を地球に示しました。
少しいびつな三日月。
月影管理人は、その三日月を心底いとしいと思いました。

空を見上げてみてください。
少し月がいびつな夜は
兎たちと月影管理人がいっしょに
ビロードのカーテンを引いた夜です。


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テーマ : 詩&想い
ジャンル : 心と身体

Rainy Town
日曜日、3階の窓から身を乗り出して
退屈な鉛色の空に
雨をやませる呪文をかけたら
行こうよ
ちいさなメロディーを唇にのせて

鍵を開けたら
雨上がりの町の魔法のはじまりはじまり

だれしも毎日
「はじめて」に出会ってるけど それは
疲れちゃうから 潰れちゃうから
日々を鈍らせて生きてるみたいだ
カラフルな景色をモノクロに変換して

行こうよ 飾らなくていい
でも 隠さなくてもいい

走れ!通り雨よ
日々に乾いた町を濡らして
踊る心を空にうたえば
Rainy Town
魔法が解けるまえに
虹も見えるはず

青空が、暗黒の隙間から顔をのぞかせ
居眠りしてる猫を
光の手のひらで優しく撫でたら
走ろう
光のかけらを背中に受けて

角を曲がれば
きみのいる家への道をまっしぐらに

想いはきっと
きみが考えてるより単純だけど それは
哀しくなるから 淋しくなるから
拙い言葉を紡いでるみたいだ
たどたどしい愛をなんとか形にして

走ろう 嘘はいらない
そうだ ごまかさなくていい

高鳴れ!心よ
言葉に疲れた心を放って
放物線を空に描けば
Rainy Town
その軌跡がきっと
虹になるはず

走れ!通り雨よ
日々に乾いた町を濡らして
踊る心を空にうたえば
Rainy Town
魔法が解けるまえに
虹も見えるはず


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About me.

Author:かわかみ はる
うつ病という病の暗闇の底で、光を探し続ける女子大生。暗雲の切れ間から差し込む光を頼りに、すこしずつ歩いています。不安の風に負けないように、ふっと笑顔になれる瞬間を大切にしたい。


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